最強縦長コン「Allen&Heath Xone:K2」レコボ用マッピングを作成した話【マッピングファイル配布】

2021年8月31日火曜日

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はいどうもgekkoです。

本日は8/31、ゼーガペイン的に言うと「明日の朝は来ない」ですね。




というわけで前回書いたXone:K2の記事の続きを書きます。

Allen&Heath Xone:K2レビュー



前回の記事でも触れましたようにXone:K2とrekordbox DJの相性が悪く、まともにマッピングして使用できないという問題がございます。

レコボは「このマッピングはこの形式じゃなきゃ無理」って言うのが多いんです。

具体的に言うとフェーダーの向きを変えられないとか、ボタンのアフタータッチを設定できないとかありますが、今回は特に「ロータリーセレクターはブラウザやループサイズ機能にしか振れられない」っていう点が一番の問題でした。



一般的にMIDIコンのフェーダーやノブっていうものは位置によって0~127の値を出力します。自分の絶対位置を出してるイメージです。

しかし、ロータリーセレクターは曲選択やループサイズ変更に使われるように無限に回転することを求められます。なので左右にワンクリックしたら1か127を出力します。相対位置を出してるイメージなんですね。




そしてXone:K2はよりにもよってGAINにあたる部分がこれなんです…




全体を眺めてみても下から縦フェーダーがあり、DJMで言うColor FilterはないもののLow、Mid、Highの3 band EQ用のノブがあり、そして最後にこのセレクターです。



Traktorであればソフト内でMIDI信号のとらえ方を弄れるのでロータリーセレクターでもGAINにマッピングできるらしいので問題ないのですが、レコボの機能では不可能。

この機材を普通にマッピングするとなるとGAIN無しにするか2 Band EQ(Midをオミットが一番一般的?)にして一番上のノブをGAINにするかしかないかなと思います。






ここからが本記事のメインになります。

みなさんはBome MIDI Translatorというソフトをご存じでしょうか?



こちら、ザックリ言うと「MIDI信号を色々いじれる」ソフトになります。

例えばMIDIのchやタイプを変更することはもちろん、出力値を倍にしたり、一つの信号を二つに分岐させたり様々なことができる優れもの。



今回はこちらを使って下記のようにrekordboxに対応していない機能だけMIDI Translatorで加工してrekordboxに送ってみようと思います。





プロジェクト作成やMIDI INセッティング等の説明は省略します。

公式からチュートリアル動画が出ていますのでそちらを参照ください。




基本的には以下の流れですね。
①Incoming……MIDI入力信号を定義
②Rules…………入力信号に対して条件、計算付与
③Outcoming …MIDI出力先を定義




それでは作成方法を解説していきます。

まずはロータリーセレクターを普通のノブ風に変換するところから。


画面右側にあるIn comingで該当するMIDI信号を検出します。

Capture MIDIにチェックを入れてMIDIコンをガシャガシャいじるとどんな信号が出てるかわかりますし、それをクリックすることで信号を選択できます。

Xone:K2の左上のセレクターはBE 00 1(時計回り)or 127(反時計回り)みたいです。この値を変数ppと致します。





次にRulesで色々弄っていきます。
先にこのMIDI信号の出力をgaと定義しておきましょう。

Xone:K2のロータリーセレクターは反時計回りに回すと1、ノブは反時計回りに回すと減算されていくのが一般的です。
ここで1行目「if pp>64 then rr=pp-132」を記述することで「反時計回りに回すと127-132=-5=rrとする」
2行目「if pp>64 then ga=ga+rr」を記述することで「反時計回りに回すとgaにga+rrを代入する」となります。
これで回すたびに今の値から-5ずつ値が変化するようになります。
※1行目のpp-132について、自分の感覚で5ずつ変化する方がやりやすかったのでこうしてるだけです。好きな値を入れることをおススメします。

4行目「if pp<=64 then ss=pp+4」
5行目「if pp<=64 then ga=ss+ga」
ここは上で述べたものと逆に時計回りに回したときに+5ずつ加算するっていう式になります。ここでも+4を弄ることで好きな間隔を選ぶことができるかと思います。

7行目「if ga<0 then ga=0」
9行目「if ga>127 then ga=127」
ここはノブの両端以上に行くな!という記述ですね。



ここまできたら最後はMIDI信号のアウトを定義するだけです。
入力はBE 00でしたが一応信号が被るのは嫌なのでBA 00としました。
また、出力値についてはRulesで定義しているgaとします。


こちらを4ch分やりましょう。
さっき作ったものをコピペしてIncomingとOutcomingの値をそれぞれいじるだけで大丈夫です。
また、一番下にある2つのロータリーセレクターもMaster Levelやheadphone volumeとして使いたいのでこちらもIncomingを調べて適用しました。



あとはレコボでマッピングするだけですね。
performance modeでConnected deviceでBome MIDI Translator1を選択してあげたら普段の要領でマッピング作業をしていきます。

MIDI Translatorで設定が完了していたら該当箇所を弄れば加工されたMIDI信号が出力されるはずなので簡単にできると思います。
下みたいになったら終わりです! これで使いづらかったロータリーセレクターがあたかもノブみたいに使えるようになる訳です!!!





また、これはXone:K2のマッピングをしながら「足りねえな~」って思い追加したものですが、一番下の両脇のボタンを一つのロータリーセレクターになるようにしました。
ここを使って波形の拡大縮小をできたらやり易いかなと思ったんですけど波形の拡大縮小がロータリーセレクターでしか設定できなかったためです。

こちらに関しては以下のようにそれぞれのボタンとしてのIncomingをrr=1もしくは127として同じOutcomingに出力しています。これであたかも一つのロータリーセレクターであるかのように振舞ってくれるわけです。





こんなことをしたらMIDI Translatorは以下のようになっているかと思います。
今回は普通にしていたら使えない機能に絞ったので数が少なめですが、複雑な条件分岐ができるようなので使い方によってはもっと面白いことが実現するかもしれませんね。



また、今回のBome MIDI Translatorのプロジェクトとrekordboxマッピングは以下のgoogle driveに保存しております。
下記リンク先のマッピングご自由にご利用可能です。
しかし、正常に動作しない恐れや意図しない挙動がある可能性がございますが、一切の責任を持つことはできませんのでご容赦ください。




以上、長々となりましたがこれでXone:K2でもレコボで十分に遊べるようになりました。
また、本記事を少し応用すれば様々なMIDIコンを自分の好きなように魔改造できると思います。

というわけでレコボユーザーのみなさん、Xone:K2を捨てずに使ってやってください!以上!!!!

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